はじまりの日 大阪

2011年の東日本大震災をきっかけに有志が集まり、支援を続けています。

ゴーゴーワクワクキャンプ 報告

今年のはじまりの日の寄付先のひとつ、ゴー!ゴー!ワクワクキャンプ(以下ゴーワク)へ、親子四人で夏休みの三日間参加してきました。
たったの三日間でしたが、私たちにとって、一番思い出に残る時間を過ごしました。

ゴーワクは、東日本大震災後、一早くG.Wから保養キャンプをスタートしたグループで、京都の若者たちが中心となり、
被災地(地域制限なし)の子どもたちに今できること、すべきことを考え、毎年約一ヶ月間以上、被災した子どもたちや親御さんを京都に招いています。

ステイ先は、キャンプと言っても野外ではなく、京都の自然の中にある大きな古民家。
初日私たちが行くのに迷って、地域の方に尋ねると、「あ~、ゴーワクね。今から野菜を届けに行くからついといで。」と案内していただきました。

ゴーワクの活動は地域の方たちから、場所や食材を協力していただいていて、滞在中も農園や小学校をおかりしたりといろいろな交流があります。
始めは大変だったと思いますが、4年目で、地域の方達とこんなに連携を取り、保養キャンプが受け入れられていることに驚きました。

保養に来ている子どもたちだけでなく、スタッフにとっても、地域の方達にも、いろいろな方達との交流は、かけがえのないものだと思います。

f:id:fy-hajimarinohi:20141002164230p:image:w360

ゴーワクの三本柱の一番目は、「子どもを放射能から遠ざける」ことです。

心身ともに健やかに過ごすよう、放射線量の低い京都での滞在中は、放射能汚染されてないバランスのとれた食事、規則正しい生活をおくるように心掛けています。
ゴーワクでの食事は、放射能汚染だけでなくオーガニックの食材、無添加調味料を用い、朝・昼・晩御飯からおやつまで全て手作りです。
味噌や梅干しは前の年から仕込んだものを使います。

主人は調理班に入り、毎食約30人以上の御飯を作り、調理班の方達の思いや大変さを感じれました。
毎日バランスのとれた、心のこもったとっても!美味しい御飯をみんなで食べれることは身体にとってだけでなく、心にも何よりの栄養だと思います。

かと言って、子どもたちは好き嫌いがあったり、マナー違反なこともします。子どもたちに、食べることの大切さ、つくる人たちの思いを伝えること、
食べる時のルールも子どもたちと話し合い、一緒に考える時間もとり、私たちも自分の子どもに伝え切れてないことをあらためて考えることができました。

f:id:fy-hajimarinohi:20141002164444p:image:w360

三本柱の2番目は「逃げられない、という心理状況に追い込まない」ということです。

私たちの滞在中、子どもを送りに来ていたお母さんとお話することができました。
やはり、地元では、放射能原発の話は誰とでもできるわけではなく、今回の参加も保養だということは言えないとおっしゃっていました。

生まれ育った土地が汚染されても、国は放射能の基準値を上げて大丈夫だと言い、家族も仕事もない土地に移住や一時避難することは、
自分たちの力だけでは、なかなか困難なことです。

特に子どもは、自分の思いだけでは、そこから逃げることができません。
地元では外で遊べない、でもそこで生きている、そんな矛盾の生活を強いられている子どもたちとキャンプで、どう向き合うか。

キャンプの日課で、毎日20時から子どもミーティングを行い、その日あったこと、問題点、疑問点、次の日の予定、掃除当番を話し合います。
子どもたちも入れ代わり立ち代わりで、いろいろな子どもがいて話すことは尽きることがありませんが、
それを真剣に聞いてくれる大人たちがいるということが、子どもたちには大切だと感じました。

スタッフも毎晩、子どもたちが寝静まってからミーティングをしていました。
一人一人に目を向け、問題点はみんなで共有し、話し合う。

心配な子どもには誰かがずっと傍にいる、子どもが外へ行きたい時は、止めることなく、誰かが着いて行くなど、
細心の心遣いで真っ直ぐ子どもたちと向き合う姿勢が、本当に人として素晴らしいなと思いました。

ゴーワクの保養に来て、出会った人や生活は、家に戻ってからも、これからも子どもたちの心に残ると思います。

三本柱の三番目は、「つながりをつくる」です。

今回参加させていただいて、スタッフの方達の年齢層や異職業の広さはもちろん、
地域の方達との連携、交流、毎日のようにいろいろな方が自分のできることを披露して盛りだくさんのイベント、
本当に沢山の方たちが参加して、保養にくるたくさんの子どもたちや親御さんとどんどん繋がっていっているということを実感しました。

今回お話しができた保養に来ていたお母さんは、ゴーワク参加経験があり、今年は近所の子どもたちも一緒に連れて来ていました。
みんなに伝えることは難しいけど、一人でも誰かに伝えることができたら、みんなが一人に伝えたら、今の世界を変えることに繋がっていくのだと思います。

f:id:fy-hajimarinohi:20141002164445p:image:w360

最後に、ゴーワクに「それを必要としている人がいる限り、キャンプを続ける」と書いているが、今回その言葉を書いていいかを尋ねました。
正直、私は楽しく、美味しい御飯を沢山食べて過ごしていたのに、たったの三日間で、帰ってから力が抜けるくらい疲れていました。

ゴーワクのスタッフは、キャンプの間は勿論、一年中キャンプに向けて活動しています。
チェルノブイリを見ても、保養はいつまでも必要ですが、続けることは決して容易なことではないはずです。

でも、彼らは「やります。」と言います。これは、被災した人や彼らだけの問題ではありません。
少しだけ!?先に生まれた私たちが前に立てればよかったのですが、お恥ずかしながら、若い人たちの背中を見て、私たちも一緒にやっていきます。

どうしようもない世の中ですが、周りにはたくさんの素敵な人たちがいることが何よりの希望です。
保養のことも多くの人に知っていただいて、みんなで続けていきたいですね。

来年もよろしくお願いします!

蔦谷 朋美